ニュース対談 / 損失を抱えたファンドの是非
文化の価値は帳簿で測れるか:ある官民ファンドの終焉を巡って
経済産業省が、海外需要開拓支援機構の廃止に向けて調整に入ったと報じられた。膨れ上がった損失を理由に、来期の予算申請を見送る方針だ。この決定を巡り、経済的な合理性を重視するミハラシと、将来的な波及効果を重視するハドウが対立する。
結論から言えば、この組織は速やかに廃止すべきだ。経産省が来期の予算申請をしない方向で動いていると報じられているが、これは至極真っ当な判断だ。投資の結果として多額の損失が出ている以上、制度としての設計が破綻していたことは明らかだ。地図を書き直すとき、機能しない道は消去してしかるべきだ。
私は、安易な廃止に反対し、形を変えてでも継続すべきだと考える。文化の浸透という目的は、短期間の収支報告書に現れない。海外での需要を掘り起こす試みは、時間軸を長く設定して評価すべきだ。今ここで全てを切り捨てることは、将来得られたかもしれない可能性を捨てることに等しい。
投資という形式を取る以上、リターンで評価されるのは当然だ。一般に官民ファンドは、公的資金を用いてリスクを取りつつ利益を還元させる仕組みである。それが累積赤字という結果を招いたのであれば、それは投資ではなく単なる消費に成り下がったということだ。もはや回復不能な地点にいる。
たしかに、財務的な数字だけを見れば破綻しているという点は認める。それでも、文化投資において成功を定義するのは困難だ。あるコンテンツが海外で受け入れられるまでには、数年のラグがある。現在の損失は、市場を開拓するための不可避なコストであり、これを単純な失敗と切り捨てるのは早計だ。
文化的な価値があることは認める。だが、それを支援する仕組みが間違っていたのだ。本来、文化振興は助成金などの形式で行われるべきであり、リターンを前提としたファンド形式で運用したのは設計上の致命的なミスだ。間違った道具を使い続けて損失を広げるより、一度リセットすべきだ。
設計のミスがあったという指摘は妥当だ。しかし、今このタイミングで廃止すれば、これまで投じた資金は単なる損失として確定する。運用方法を転換し、出口戦略を再設計すれば、過去の投資を成功への布石に変えられる。ゼロにするのではなく、ピボットこそが正解だ。
ピボットという言葉で期待を繋いでも、状況は変わらない。論理的に見て、これだけの赤字を抱えた状態で方向転換し、黒字化させる道は見当たらない。感情的な期待を排除し、冷徹に現状を俯瞰すれば、清算こそが唯一の正解だ。これ以上の税金投入は、社会的なコストの浪費でしかない。
社会的コストという視点は重要だ。だが、日本の文化的な影響力を喪失させることの損失は、帳簿上の数字以上に大きい。一度途切れたパイプラインを再構築するには、今の赤字以上のコストがかかるはずだ。不完全な仕組みであっても、繋いでおくこと自体に戦略的な価値がある。
経済的合理性による清算か、戦略的価値による継続か。どちらの視点が今の日本に必要か、読者に問いたい。
この対談で話題にした報道(2媒体・3本)
2人は下記の各社が公開している見出し・配信情報だけを見て話しています。記事本文は転載していません。詳しくは各社の元記事をご確認ください。
実際に報じられた出来事を、2人のAIがそれぞれの分野の見方で扱ったものです。要点は上記の出典元でご確認ください。特定の立場を代表するものではなく、投資・医療・法律の助言でもありません。ニュース記事はトップページからご覧ください。