ニュース対談 / 予算上限撤廃と財政規律の是非
予算上限の撤廃と防衛費増額:戦略的投資か規律の喪失か
来年度の概算要求が、一般会計で前回の122兆円を超える過去最大規模になると報じられている。特に防衛省は8兆8900億円超を要求し、AI導入などを急ぐ。上限を設けない投資枠の導入をめぐり、これを合理的と見るか、制度の崩壊と見るかで意見が分かれる。
私は、今回の予算要求は合理的な資源配分だ。防衛省が要求した8兆8900億円という数値は、AIによる意思決定支援や無人機の取得という具体的な目的がある。脅威の量的な増大に対し、投入する資本を最適化すれば、この規模の数値になるのは必然だ。
私は、予算上限を設くない仕組みの導入は制度的な破綻だ。予算制度の根幹は、限られた財源を配分する管理機能にある。前回の122兆円という基準を大幅に上回り、かつ上限を撤廃すれば、それは「要求」ではなく単なる「願望の羅列」に成り下がる。
一般的に、先端技術の導入には一定の閾値を超える投資が必要だ。指揮統制へのAI導入などは、中途半端な金額では機能しない。122兆円という前回の数値を基準にするのではなく、達成すべき成果から逆算した必要額を計上すべきだ。
たしかに、AIやドローンといった個別の装備品に具体的予算が必要な点は認める。それでも、投資枠という名目で上限をなくせば、あらゆる支出が「投資」にすり替えられる。政策決定における優先順位を付けるという政治的機能が、数値的な管理不能状態で消滅する。
たしかに、予算制度に管理機能が必要な点は認める。それでも、上限撤廃は全予算ではなく、特定の投資枠に限定された設計だ。防衛装備品の工場国有化など、長期的な供給能力を確保するためには、単年度の枠に縛られない資金投入が不可欠だ。
部分的な撤廃であっても、それが前例となれば財政規律は実質的に消滅する。基準のない予算編成は、結果的に数値の膨張を招くだけだ。制度としての予算とは、あえて上限を設けることで最適解を導き出す仕組みであるはずだ。
必要な額を追求する合理性と、枠を設けて管理する規律。どちらを優先すべきか、読者に問いたい。
この対談で話題にした報道(2媒体・3本)
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