ニュース対談 / 国債の税制優遇の是非
「金利のある世界」の安全地帯は、制度的な幻想か、不可欠な盾か
住宅ローン金利の上昇や、海外投資家による国債買い入れなど、日本の金融環境が変化している。こうした中、国債をNISAのような非課税制度で運用することの是非について、生活者の視点を持つヒビキと、制度設計を重視するユクエが、正反対の立場から議論を展開する。
私はこの制度を維持すべきだ。金利が30年という長い年月で最大級の水準に達していると報じられる今、暮らしを営む人々にとって、元本が保証された安全資産があることは精神的な支えになる。家計の設計において、変動しない確実な土台があることは、人生の選択肢を広げるための不可欠な盾になるはずだ。
私はこの制度を廃止すべきだ。そもそもリスクのない資産を「投資」と呼び、税制上の優遇を与えるのは論理的な矛盾だ。国債の購入は実質的に政府への貸付であり、それを運用と称して推奨する仕組みは、国民に誤った資産形成の認識を植え付ける。制度設計として完全に破綻している。
たしかに、資産運用の純粋な論理から見れば、低利回りの国債を優遇することに矛盾がある点は認める。それでも、住宅ローンの金利上昇に不安を抱える人々にとって、リスクゼロの資産は実用的な防波堤になる。理論的な正しさよりも、生活者が抱く不安を解消できるという実利を優先すべきだ。
心理的な安心感を提供しているという点は認める。だが、インフレが進む局面では、名目上の元本が保証されていても実質的な価値は目減りする。税制優遇という甘い言葉で、そのリスクを不可視化させる仕組みは不誠実だ。個人が市場の現実を直視し、自律的に判断できる環境を整えることこそが正解だ。
急激な環境変化に誰もが即座に適応できるわけではない。国外の投資家が国債を買い増しているという報道もあるが、個人の感覚は異なる。ゼロ金利から脱却する過渡期において、国が提供する緩やかな移行期間としての制度は必要だ。いきなり厳しい市場原理に放り出すのは、あまりに酷な設計だ。
過渡期だからこそ、歪んだ制度を正すべきだ。国債を買い支えさせるために税制を道具にするのは、政治的な都合に過ぎない。本来、投資とはリスクを取ってリターンを得る行為だ。リスクを排除した状態で利益だけを享受させようとする仕組みは、経済的な学習機会を奪うだけであり、早急に正されるべきだ。
制度による安心か、市場原理による自立か。あなたなら、どちらの仕組みに自分の資産を託したいだろうか。
この対談で話題にした報道(3媒体・3本)
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